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一体、在留特別許可って何?

在留特別許可とは

在留特別許可とは、退去強制事由に該当するため本来は退去強制される外国人に対し、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると判断し、その裁量により与える在留許可です。
在留特別許可を受けることにより非正規在留が合法化されます。

 

在留特別許可の4つの類型

1)永住許可を受けているとき
 日本社会における安定性を考慮し、法務大臣の在留特別許可にあたり特別に配慮することのできる事由として定められたものです。ただし、永住許可を受けているからと言って必ず在留特別許可が与えられるわけではありません。
 在留特別許可の諾否の判断に有利に働くというに過ぎません。

2)かつて日本国民として日本に本籍を有したことがあるとき
 元日本人については、日本社会との地縁関係を考慮し、法務大臣の在留特別許可にあたり特別に配慮することのできる事由として定められたものです。
 ただし、第二次世界大戦後日本国籍を離脱した朝鮮人や台湾人の方はこれに該当しませんのでご注意ください。

3)人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に在留するものであるとき
 『人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に在留するものであるとき』とは、人身取引等により本国の生活環境から不法に引き離されて、その行動に制限を加えられ自由を奪われた状況下で日本に在留している状態のことです。
 在留特別許可が与えられる場合は通常、一定期間後の帰国を前提として『特定活動』の在留資格が付与されます。

4)その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情がると認めるとき
 これは、上記1)~3)に該当せず、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときという意味です。
 実務上はこの類型が最も多いケースとなります。
 具体的にいかなる場合が該当するかについての記載はありませんので、個々のケースに応じて判断することとなります。
 実際に許可される場合は限定されています。
 従って、ご本人で判断することなく専門家にご相談するのが賢明です。

 

在留特別許可が認められる7つの類型

1)元日本国籍で、本籍を有していた者(元日本人)

2)日本人、特別永住者、『永住者』、『定住者』と法的に婚姻が成立しており、婚姻信憑性の立証が十分になされている場合

3)日本人の実子(日本国政の有無は問わない)を親権をもって監護養育する者

4)日本で生まれた(あるいは幼少時に来日した)おおむね10歳以上(特別審理官による判定時)の実子が同居・監護養育され、日本の学校に通学している、おおむね10年程度以上日本に在留してきた外国人一家が出頭申告した場合で入管法以外の法違反(軽微なものを除く。)が無い場合

5)日本人の実子あるいは日系人(2世、3世、4世)であり、本来、定住者告示等に該当するため『日本人の配偶者等』又は「定住者」の在留資格を取得しうる地位にある者

6)特別永住者の子

7)本国での治療が不可能な難病等を抱えており、日本での治療が必要不可欠である者又はこのような治療を要する親族を看護することが必要不可欠である者

※上記7つの類型に該当しない場合でも、在留翼別許可が認められる可能性はありますが、そのハードルは高く困難と言えます。

 

在留特別許可ガイドライン

在留特別許可に係るガイドライン(平18・10法務省入国管理局、平21・7改訂)

※以下の『積極要素』とは在留特別許可を与える方向に働く事情であり、『消極要素』とはその逆で、在留特別許可を否定する方向に働く事情のことです。

第1 在留特別許可に係る基本的な考え方及び許否判断に係る考慮事項
 在留特別許可の許否の判断に当たっては、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、更には我が国における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案して行うこととしており、その際、考慮する事項は次のとおりである。

1)積極要素
積極要素については、入管法第50条第1項第1号から第3号(注参照)に掲げる事由のほか、次のとおりとする。
ここにいう注の内容は、上記2.在留特別許可の4つの類型の1)~3)のことです。

①特に考慮する積極要素
(1)当該外国人が、日本人の子又は特別永住者の子であること
 
ポイント:ここでの『子』は養子ではなく実子であることを意味しています。

(2)当該外国人が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって、つぎのいずれにも該当すること
ア 当該実子が未成年かつ未婚であること
イ 当該外国人が当該実子の親権を現に有していること
ウ 当該外国人が当該実子を現に本邦において相当期間同居の上、監護及び養育していること

ポイント:親権を有していること、日本において相当期間同居の上、監護・養育している事実が必要となります。入管が実態調査することもあるので注意が必要です。

(3)当該外国人が、日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために、婚姻を仮想し、又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く)であって、次のいずれにも該当すること
ア 夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力して扶助していること
イ 夫婦の間に子がいるなど、婚姻が安定かつ成熟していること

ポイント:婚姻が実体を伴うことが決定的に重要です。実体の根拠は同居です。また、相当期間については同居期間・婚姻期間が2~3年程度では足りないとされています。

(4)当該外国人が、本邦の初等・中等教育機関(母国語による教育を行っている教育機関を除く。)に在学し相当期間本邦に在住している実子と同居し、当該実子を監護及び養育していること

ポイント:相当期間はおおむね10年と言われています。また、小学3年以下では母国に戻り母国語での教育に対応できると考えられるので認められないケースが多いです。

(5)当該外国人が、難病により本邦での治療を必要としていること、又はこのような治療をする親族を看護することが必要と認められる者であること

ポイント:日本での治療が必要というレベルは『日本での治療が不可欠』であると考えておく必要があります。

②その他の積極要素
(1)当該外国人が、不法滞在者であることを申告するため、自ら地方入国管理官署に出頭したこと

(2)当該外国人が、別表第2に掲げる在留資格(注参照)で在留している者と婚姻が法的に成立している場合であって、前記1の(3)のア及びイに該当すること

ポイント:(2)記載の注は、いわゆる身分系といわれる資格で『日本人の配偶者等』『永住者』『永住者の配偶者等』「定住者』を指します。

(3)当該外国人が、別表第2に掲げる在留資格で在留する実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって、前記1の(2)のアないしウのいずれにも該当すること

ポイント:『永住者』『定住者』『日本人の配偶者等』『永住者の配偶者等』で在留し実施を監護養育している場合、必ずしも在留特別許可が与えられる訳ではないことに注意が必要です。

(4)当該外国人が、別表第2に掲げる在留資格で在留している者の扶養を受けている未成年・未婚の実子であること

ポイント:『永住者』『定住者』と婚姻した外国人に対して在留特別許可が与えられる場合の当該外国人の連れ子のことです。

(5)当該外国人が、本邦での滞在期間が長期間に及び、本邦への定着性が認められること

ポイント:長期間とは20年程度以上を意味します。

(6)その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること

2)消極要素
消極要素については、次のとおりです。

①特に考慮する消極要素
(1)重大犯罪等により刑に処せられたことがあること
<例>
・凶悪・重大犯罪により実刑に処せられたことがあること
・違法薬物及びけん銃等、いわゆる社会悪物品の密輸入・売買により刑に処せられたことがあること

ポイント:自己使用あるいは自己使用目的の単純所持であれば、在留特別許可の可能性もあります。

(2)出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていること
<例>
・不法就労助長罪、集団密航に係る罪、旅券等の不正受交付等の罪などにより刑に処せられたことがあること
・不法・偽装滞在の助長に関する罪により刑に処せられたことがあること
・自ら売春を行い、あるいは他人に売春を行わせる等、本邦の社会秩序を著しく乱す行為を行ったことがあること
・人身取引等、人権を著しく侵害する行為を行ったことがあること

ポイント:売春強制的環境から救い出した日本人客と真摯な交際を経て婚姻に至ったような場合は在留特別許可の可能性があります。

②その他の消極要素
(1)船舶による密航、若しくは偽造旅券等又は在留資格を偽装して不正に入国したこと

ポイント:不法入国事実(不法在留事案)自体を強く不利益に斟酌されるので注意が必要です。

(2)過去に退去強制手続きを受けたことがあること

(3)その他の刑罰法令違反又はこれに準ずる素行不良が認められること

ポイント:刑罰法令違反、その一事で在留特別許可の可能性が無くなるのではなく、罪状によります。

(4)その他在留状況に問題があること
<例>
・犯罪組織の構成員であること

ポイント:例えばブローカー組織の一員であった場合などは不利益に斟酌されます。第2 在留特別許可に許否判断

 

 在留特別許可の許否判断は、上記の積極要素及び消極要素として掲げている各事項について、それぞれ個別に評価し、考慮すべき程度を勘案した上、積極要素として考慮すべき事情が明らかに消極要素として考慮すべき事情を上回る場合には、在留特別許可の方向で検討することとなる。したがって、単に、積極要素が一つ存在するからといって在留特別許可の方向で検討されるというものではなく、また、逆に、消極要素が一つ存在するから一切在留特別許可が検討されないというものではない。主な例は次のとおり。

 

<「在留特別許可方向」で検討する例>
・当該外国人が、日本人又は特別永住者の子で、他の法令違反がないなど在留の状況に特段の問題がないと認められること
・当該外国人が、日本人又は特別永住者と婚姻し、他の法令違反がないなど在留の状況に特段の問題がないと認められること
・当該外国人が、本邦に長期間在住していて、退去強制事由に該当する旨を地方入国管理官署に自ら申告し、かつ、他の法令違反がないなど在留の状況に特段の問題がないと認められること
・当該外国人が、本邦で出生し10年以上にわたって本邦に在住している小中学校に在学している実子を同居したうえで監護及び養育していて不法残留である旨を地方入国管理官署に自ら申告し、かつ当該外国人親子が他の法令違反がないなどの在留の状況に特段の問題がないと認められること

<「退去方向」で検討する例>
・当該外国人が、本邦で20年以上在住し定着性が認められるものの、不法就労助長罪、集団密航に係る罪、旅券等の不正受交付等の罪等で刑に処せられたことがあるなど、出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていること
・当該外国人が、日本人と婚姻しているものの、他人に売春を行わせる等、本邦の社会秩序を著しく乱す行為を行っていること

 

 

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